「VOCALO CRITIQUE vol2」に寄稿しました。そして、補足も
1 寄稿してみた。(あるいは宣伝)
「VOCALO CRITIQUE」という雑誌があります。
ボーカロイドに関する批評を読みたい! という人たちの熱い思いから、2011年6月11日に創刊された同人雑誌です。
いわゆるひとつの評論誌というやつです。
イメージ的には、青土社から刊行されている「ユリイカ」が近いでしょうか(といってしまうとかなりたいそうなイメージになってしまうかもしれませんが)。
ボーカロイドに関して何でもいいから論じてみたいという方があつまってあれやこれや論じているという形の雑誌になります。
その最新号である「VOCALO CRITIQUE vol2」に私も寄稿させてもらいました。
タイトルは、
『「初音ミク」の法律問題』で、
テーマは、
「ボーカロイドを使用して同人制作を行った場合、著作権法上その適法性がどのように判断されるか」
というものです。
現在、とらなのあなさんにて委託販売がされておりますので、そこから手に入れることができます。
ご興味のある方は、是非、お買い求めください(なお、過去の「VOCALO CRITIQUE」も手に入れることができます)。
「VOCALO CRITIQUE」の公式ページはこちら。
2 『「初音ミク」の法律問題』補足
ここから先は、寄稿させてもらった『「初音ミク」の法律問題』(以下、「本論」といいます)の補足になりますので、先に本論をお読みいただければと思います。
本論では、字数の関係上、参考文献を全くあげることができませんでしたので、ここであげておきたいと思います。
といっても。
本論でも述べてますが、ボーカロイドに関する法的論述は、私の知る限り2つしかありません(ご存じの方は教えていただければ幸いです)。
なので、基本的には著作権法に関する本がメインになるかと思います。
では、以下参考文献です。
Ⅰ SFマガジン(早川書房) 2011年8月豪 (特集初音ミク)
「初音ミクを縛るのは誰? ーボーカロイドを巡る法律問題」 小倉秀夫氏
ボーカロイドに関して、概括的に著作権法上の権利を論じている論文。著者は、著作権法のコンメーンタール(条文について逐一解説した本)の共著者でもあり、内容については安定している。
とはいえ、概括的に多くの問題について簡潔に論じているため、たぶん、著作権法を学んだことがある人でないと理解は難しいかも。
私的には、概括的に問題を見渡せるので、本論作成の際にかなりお世話になりました。
Ⅱ ユリイカ(青土社)12月臨時増刊後 2008年vol40-15 総特集初音ミク ネットに舞い降りた天使
「初音ミクの二つの身体 存在するもの/想像されるもの」 白田秀彰氏
ボーカロイドに関して法的に論じたもう一つの論述がこの論文。著者は、知的財産を専門とする法政大学の準教授。印象としては、法的な論文というより、法的な側面から初音ミクを評論したような、そんな感じ。
とはいえ、初音ミクの制作会社であるクリプトンの提供する使用許諾契約に関する考察には光るものがあって、すごくおもしろかった。
ここから先は、著作権に関する基本書をあげます。基本書はいくらでもありますが、とりあえず、私が参照にした二冊を。
入門としては非常に読みやすい上に、本文が約300頁と薄いので手軽。私もすんなり読めました。
とはいえ、内容的にはすごく最先端な話を扱っているので、入門書といってもしっかりしたものがあります。
私が一番うれしかったのは、ちょっと専門的ですが、要件事実と主張立証を意識した論述があり、実務家的にはすごくありがたかったです。
ものすごい大著ですが、書いている著者の先生は、この分野の大家中の大家。とりあえず多少は著作権法を扱いたいのなら、この本は読まなければならないんじゃないかと思います。
論述そのものはわかりやすいのですが、完全に専門書なので最初からこの本に挑むのはちょっと大変かもしれません。
3 最後に
参考文献は以上ですが、ぶっちゃけると、ⅠとⅡを見れば、私の論述の内容はカバーできてしまう気がします(笑)。
私の本論の目的としては、あくまで同人制作者の方を対象にしつつ、なるだけわかりやくすく著作権法と初音ミクについて論じるという点にありましたが、成功したかどうかはみなさまのご判断を仰ぎたいと思います。
ご意見ご質問等あれば、コメントいただければと思います。